技術の進歩に伴いMac OSも様々な変化を遂げている。その系譜は概ねSystem 6までと、System 7、MacOS 8とMacOS 9の3つの時期に分かれる。
System 1~4 (1984-1988)
Macintosh登場当時の直系。画面は白黒ベースで基本的にシングルタスクのOS。QuickDrawの採用により、ハードウェアによるアクセラレーションなしでGUI OS環境を実用的な速度で動作させることができた。ファイルシステムは、初期ではMacintosh File Systemであったが、System 2.1よりHFSを採用した。今から見れば非常に貧弱な機能しか持たないが、それでも当時としては先進的なユーザインターフェースを考えると驚くほどメモリ消費が少なく、初代Macintosh上のわずか128KBのメインメモリ上で動作した(もっとも128KBでは実用が厳しいほどメモリが不足していたため、すぐに512KBモデルへのアップデートが行われた)。Macintosh Toolbox と呼ばれる APIがROMとしてハードウェアに組み込まれていたのも、できるだけROMからプログラムを直接実行してメインメモリ (RAM) の消費を抑える工夫のひとつである。当時の限られたハードウェア上で動作させるため性能的には多くの制約があり、メモリを節約するために完全なシングルタスクを前提として設計されたToolbox APIは後のMac OSの発展の足枷となることになる。
System 6系列 (1989-1991)
System 4までと同じく、画面は白黒ベースで基本的にシングルタスクのOSだが、FinderがMultiFinderとなって、疑似マルチタスク環境が利用できるようになる。32bit QucikDrawの登場により、24ビットフルカラーが扱えるようになる。TrueTypeが採用され、QuickTimeの登場によりマルチメディアデータを扱う環境が整う。ちなみにSystem 5というバージョンはない。これはSystem 6において、FinderとSystem自体のバージョンを統一するという方針によるものであった。この系列までは、1つのボリュームの中に同じファイル名のファイルは1つしか存在できないという制約があり、フォルダを分けていても、すでにMac内で使用されているファイル名はつけることはできなかった。2011年にはシステムクロックの表示がリセットされてしまう。
System 7系列 (1991-1997)
System 7.0(コードネーム:Blue、Big Bang)では、システム全般が大幅に改良・強化され、Macintoshは本格的なマルチメディア時代に踏み出した。32bit QucikDrawや疑似マルチタスク機能がシステムに全面統合され、QuickTimeも標準で付属するようになった。画面のデザインがカラー化され、ラベル機能など色を生かしたインターフェースが搭載された。仮想メモリの搭載により最大4GBのメモリ空間にアクセスできるようになり、巨大な画像データや動画ファイルを扱える条件が整う。Open Scripting Architectureの採用によりアプリケーション間通信の機構が整備され、AppleScriptによる自動操作を実現した。ファイル共有やドラッグ・アンド・ドロップの標準化も行われ、その後のMac OSの原型となったバージョンである。System 7.1でフォント管理はFont/DA Moverからフォントフォルダによる管理に移行し、日本語版にあたる漢字Talk 7.1ではことえりの最初のバージョンが搭載された。その後は機能拡張ファイルを追加することにより、音声認識、テキスト読み上げ、発行と引用などの最新技術が順次投入された。 System 7.1.2ではPowerPCへの対応をはたし、従来の68kコードを動的に変換して実行する機構を搭載、PowerPCへのスムーズな移行を実現した。
System 7.5(コードネーム:Mozart、Kapone)では、ウィンドウシェードやメニューバーの時計、コントロールバーなどサードパーティーのアクセサリで実現されていた機能が標準で付属するようになった。また、ネットワーク機能も強化され、TCP/IPクライアント機能やPowerTalkが搭載された。その後のマイナーバージョンアップでは、次世代のCopland OSをにらんで、QuickDraw GX、QuickDraw 3D、OpenDoc、Java仮想マシンといった新技術が次々盛り込まれた。こうした機能の強化のうち多くはシステムフォルダ内の機能拡張・コントロールパネルフォルダに新しいファイルを追加されることで行われ、システムは肥大化した。680x0からPowerPCへの橋渡しの役目を担うSystem 7.5.2は改良されたコード変換機構を搭載し68kコードの実行性能が向上した反面、システムが不安定であったが、その後のSystem 7.5.3 Release 2とSystem 7.5.5にて大半の不具合は解消される。また主に経営陣の問題から、部署ごとでバラバラに技術を作るだけでそのまま放置されるケースが目立つ。それらの矛盾はCopland計画で解決する予定であったが、結局は失敗することとなった。
Mac OS 8 (1997-1999)
1996年12月20日のアップルとNeXTとの合併発表、WWDC '97で発表されたRhapsody計画を経て、2000年のMacworld Expo/San FranciscoでMac OS Xに向かうことが発表され[1]、それまでのつなぎとしてシステムの近代化、インターネットへの親和性強化が図られる。Coplandプロジェクトで開発されたもののうち、使えそうな技術から順次採用を進め、半年ごとにマイナーアップデートとメジャーアップデートを繰り返すという方針が発表された。Mac OS 8.0(コードネーム:Tempo)では、マルチスレッド化されたCoplandのFinderを採用し、ゴミ箱を空にしたりファイルをコピーしている最中でも、Finderでほかの作業ができるようになった。また、フォルダナビゲーション、ポップアップウィンドウといったCopland由来の機能がインターフェースに追加され、インターフェースが大きく変わった。デスクトップピクチャが実装され、見た目が立体的でモダンなプラチナアピアランスになった。コンテクストメニューが標準採用されたほか、インターネットへの接続アシスタントやWebサーバ機能が付属するようになった。Mac OS 8.1で新しいファイルシステムとしてHFS+が利用できるようになり、Internet Explorer for Macが標準ブラウザ、Outlook Expressが標準メールクライアントとなった。Mac OS 8.5(コードネーム:Allegro)では、よりPowerPCへ最適化され、このバージョンからPowerPC専用となった。ナビゲーションサービス、Sherlock、ATSUIによるフォント環境の改善などの機能が搭載された。新しいアピアランスマネージャを搭載し、画面上の文字表示にアンチエイリアスがかかるようになり(アンチエイリアスをオフにすることも可能)、フルカラーのアイコンもサポート、より重厚なアピアランスとなった。Mac OS 8.6では、省エネルギー機能の向上、マルチプロセッサ対応の改善など、様々な機能の改良が行われた。USBの標準サポートもされた。
Mac OS 9 (1999-2001)
Mac OS 9(コードネーム:Sonata)では、特にインターネットを意識した機能強化がなされ、キーチェーン、ファイルの暗号化、音声認識によるログイン、疑似マルチユーザ機能などが搭載された。Mac OS Xへの橋渡しの役割を担ったバージョンであり、アプリケーションパッケージやCarbonlibなど、Mac OS Xとの互換性を意識した機能が盛り込まれた。Mac OS Xに比べて一部の動作が軽快に感じられること、またMac OS X以降の設計思想の変化などから、現在でもMac OS 9を愛用する層が存在する(通称「9er」と呼ばれる)。時期的にWindows XP/Mac OS X両者の影に隠れがちだが、最後のバージョンとなったMac OS 9.1/9.2はMac直系OSの到達点として比較的高い完成度を持っており、最後まで改良の努力を続けたMac OS開発陣の姿勢はユーザに一定の評価をされている。
(参照元:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)